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zoom RSS 絵画論番外編2 デッサンと絵画指導の現場

<<   作成日時 : 2012/12/29 22:18   >>

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絵画論19 デッサンを語ることについて」の続きです。
まだ読んでいない方は先に読んでおいてください。
(今回は2つの絵画論を同時更新しているので注意してください。)


絵画論編集推敲担当:
このblogの絵画論の文章は、「論」とついていることからも分かる通り、あえてかなり理屈っぽく書いています。(私の趣味でもあります。)そのため、原稿をもらっても、中身にまとまりが無い時は勝手に分けたり、まとめたり、書き足したり、色々変更しています。ていうかいつも原型が無いくらい改造しています。

しかし、今回の範囲は私が手を付けることは出来ないと思ったので、そのまま載せることにします。そのかわり番外編とします。かなりえぐい内容になっているので、体調が悪い人は読むのに注意してください。




▼デッサンについて教えること
「趣味で絵を始める人にデッサンを教えるべきかどうか」という問題が時々とりあげられます。

前回示したように、これにはいろいろ批判や抵抗があります。デッサン自体は単なる絵の練習方法に一つにすぎません。自分の絵に対する考え方や接し方と合わなければ、やらなくても構いません。逆に、必要だと思ったり、単にやりたいと思えばやってみるのもよいと思います。

それよりも私が気になることがあります。そもそも絵に対するデッサンの功罪などは、デッサンをやった人でないと分からないことが多いのです。これから絵を描こうとする人やデッサン未経験者にデッサンの良し悪しの話をしてもピンとこないのではないかと思います。


▼子どもの絵
子供たちに絵を教えていると、皆それぞれに描き方、とらえ方が違うことに気付かされます。(当たり前のことですが。)よく大人は「子供の個性を尊重して思うままに描かせよう」と言います。また、「子供にはあまり余計なことを言わない、教えない、押し付けないほうがよい」とする風潮があります。

学校の授業で描く絵は技術を磨くためではなく、情操教育の一環としてやっていることは承知しています。しかし、絵を描く子供たち全員が奔放に描きたいと思っているわけではありません。繊細に、リアルに、丁寧に描きたいと思っている子もたくさんいます。

以前、対象を見た目とは全く違う、独自の色や形で表現する小学生がいました。私はこの大胆な感性でそのまま続けて描いてもらいたかったので、あえて常識的な描き方に直そうとは思わず、良いところのみをほめ続けました。嘘をついていたわけではなく、実際よい絵だったし、他の人からも同様の評価がありました。

その後、その子が卒業を気に絵画教室をやめ、何年か経って再開しました。その子が言った言葉は「あの当時、自分では絵が少しもうまく描けていないのに先生は褒めてばかりいて絶対嘘をついていると思った。中学生になったら美術の評価が2になって、先生からもっとまじめに描きなさいと怒られた…」というものでした。このようなことを聞いてびっくりし、とても考えさせられました。


▼誰が評価するのか
絵画教室で初めて絵を描く人に、先生が「自由に描いてください」と何気なく言います。しかし、この一言を実行するのがどれだけ難しいことか。「自由」とか「描く」という言葉は普段何気なく使われているので、簡単なように思うかもしれませんが、まずできません。料理が全く出来ない人に料理をさせるのと同じです。普通はどこから始めたらいいのか分からないし、そもそも手が動きません。全く描けないのに「自由」も何もありません。

無理矢理何かを描いたとしても、それがどういうもので、どういう価値があるかは自分では判断できません。先生は「それでいいよ、よく描けている」と言いますが、本人には何がどう良いのか結局わかりません。まあこれには「描いていればそのうち分かる」という意味が含まれているのでしょう。

子供や絵を習い始めた人が、既成の描き方(見たままなぞり写すように描く方法)に沿って描かず、思うがままに自由に描いたものを「個性がある」と言います。また、楽しければOKなので「そのままでいい」と言ったり、「稚拙な感じが素朴でいい」とも言います。

この「上からの目線」はどこから来てしまうのか。

一体何を持って「そのままでいいよ」「とてもいい絵だから」と言っているのでしょう。これは誰のどの視点での何の評価なのでしょうか。


▼評価のない世界
「いや、そもそも誰もそんな評価はしていないし、評価する必要もない」という声もありそうです。しかし、そうだとすると、絵の世界は無秩序で混沌としたものになってしまいます。

こういう世界を想像してみてください。ロボットと象さんと幼児と○○(好きな言葉を入れて下さいね)が一か所に集まり、それぞれが筆を動かして何かを描いています。そして、世界には彼らしか存在しないとします。つまり彼ら以外に絵に価値を与えるものが誰もいないとします。さて、彼らの描いたものはどんな意味を持つのでしょうか。

ロボットと象と幼児が描く絵


私は第1回の絵画論でミューズアイ(審美眼)を持つこと、すなわち自分の描いた絵を自分で見る(評価する)ことが出来る大切さを書きました。この例でわかるように、ただ漠然と描いているだけでは、自分でよくわからなくなるからです。

絵を描いて、誰かからの評価を待つのはよくないことです。また、先生が褒めてくれたからといって、いいというわけでもありません。自分の絵を責任もって見たいものです。

そのために絵の勉強が必要になります。先生の言葉を理解するためにも必要となります。そして、その具体的な方法としてデッサンが出てきます。ひょっとしたら他にもいろいろな勉強方法、価値基準があるのかもしれませんが、私にはあまり思いつきません。


▼デッサンに対する答
絵を始めたばかりの人の「こんな下手な絵ではなくて○○の名画のような絵を自分でも描いてみたい」という希望にどう答えればよいのだろうか。「いや、あなたのままのほうがよいよ」と果たして言えるだろうか。あるいは、それに答えられるだけの絵の練習方法はあるのだろうか。

そういう意味での表現力の訓練としてデッサンは確かに有意義です。しかし前回書いたようにデッサンにはいろいろ副作用があります。デッサン以外の方法が無いか求め、試し、さらに多くの努力をしなければならなくなります。では副作用が怖いからといってデッサンをしないで絵を描けるかと言ったらそれはそれで完結してしまいます。

いい絵を描くにはデッサンをするほうがいい。

しかしデッサンをしたからといっていい絵が描ける保証はない。

いい絵が描けないというのなら、何もデッサンをする必要はない。

普通の人はデッサンをしていない。

しかしデッサンをしていない人による素晴らしい絵や表現芸術はたくさんある。

そもそもデッサンは何のために必要だったのか。

もちろんいい絵を描くためだ。

ではやはりデッサンはしたほうがいいのか…。

堂々巡りが続きます。
デッサンをめぐる話は結論が出せないと思います。
また、これ以上考えると「何のために絵を描くのか」という究極の問いに達してしまいます。
さすがに手に負えないのでこの辺りで話を終えます。



▼デッサンのこれから
ところが近年この堂々巡りを変化させるものが現れました。
それは「パソコン」です。
これらの技術がデッサンの存在を変えてしまうかもしれないと
私は考えています。
このことはまた機会を改めて考えてみたいと思います。

うさうさ堂の絵画論の一覧<絵画論記事のまとめ>



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「絵画論18 デッサンは肉体改造!?」の続きです。 ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ははは「デッサン、どうどう巡り」ですねぇ・・

僕も50歳くらいの大阪女性から電話があり「私はデッサンができないから・・」と愚痴を言ってきます。その時僕が言うのは「描きたかったら、描け!」「描きたくなかったら、描くな!」それだけです。ははは、無料ボランティアの迫力です。
マミケン
2013/01/07 16:15
いやはや 教室で高校性たちが根気よく描いて
 描いて卒業していく姿をいつもうらやましく見てました
 鉛筆一本で織りなすデッサン、何回かチャレンジしまし
 たがすぐに挫折・・・・・
 今日はしっかりと読ませていただきました。
せっちゃん
2013/01/09 21:54

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