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zoom RSS 絵画論その13 立体論T-この世界をどのように見ているか-

<<   作成日時 : 2011/06/05 21:20   >>

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平面から立体へ

平面から立体へ


この絵画論では「線から面へ」という流れで話をしてきました。
今回からは、立体の話をします。
ただ、話したいことがあまりにもたくさんあります。
どこからどうやって説明したら良いのか、
正直まとまる気がしません。
なので、思いついた順に話していくことにします。
全体としてまとまりが無いことをご容赦ください。
(いつものこと?)


「この世界(の一部)をそっくりに写したい」というのは、絵を描きはじめた頃によくある、自然な目標です。一方、私たちが住んでいるこの世界は、平らではなく、奥行きがある世界です。つまり、この世界は立体的です。つまり冒頭の目標を目指すには、「この世界と同じような、立体的な世界(の絵)を描くにはどうすればいいか」という課題が問題になります。この絵画論ではこの問題を「立体論」としてしばらく扱っていきます。

本当はすぐに「どうやって立体を描くか」を説明したいのですが、そう簡単には出来ません。なぜなら、この世界を描こうとすると、立体のことをいろいろと意識しなければならなくなるからです。(これは、実際には目にしない、頭の中だけの空想や感情を表現するときでも同じです。)立体をどう考えるか、立体とどう向き合うか、立体とどう付き合うか…。特に、「立体に見えるとはどういうことか」が大切になってきます。

これらを踏まえて、まずは「私たちは、この世界をどのように見ているのか」から考えていきます。


▼立体的に見える理由

写真や絵画は2次元的な平面の情報です。同様に、私たちの目に映っている映像も2次元です。しかし、普段見てるこの光景は、それが3次元の世界だと認識しています。そのように感じる仕組みとして、一般に次のようなものがあげられます。

 A 左右の目から見える絵(角度)の違い
視差による立体感
図1 視差

あるものを見たとき、左と右の目に映る絵は違います。近くのものほどその差(角度)は大きく、遠くなるほど差がなくなります。3D映画はこれを利用しています。

 B 見るものの距離による焦点の違い
焦点による遠近感
図2 焦点

ものの位置によってぼけて見えたりはっきり見えたりします。
これにより、片目でもある程度遠近がわかります。

 C 大きく見えるか小さく見えるかの違い
大きさによる遠近感
図3 大小

遠くのものほど小さく見えます。物の大きさの情報を事前に知っている必要があります。

 D 動きの速さの違い。
速さによる遠近感
図4 速さ

手前のものほど早く動いて見えます。電車に乗ったときの窓から見える光景を思い出せば分かると思います。

人は、これらのことを合わして、この世界を立体的に認識していると言われています。


▼平面から浮かび上がる物体

人がどうやって立体を認識するのか、いくつか挙げて見ました。しかし、これだけでは説明の付かない現象もあります。それは、平面画像が立体的に見えてしまうことです。

その最たる例として「トリックアート」が挙げられます。建物の壁に、柱やドアの壁の絵を描いてあり、ある方向から見ると本当に存在しているような錯覚を受けます。ヨーロッパの街角でよく見られます。
トリックアート
図5 トリックアート

また、手で触れるのではないかと思ってしまうほどリアルな古典絵画もよく見受けられます。

これらは、実際には平らな面に絵が描かれているだけにもかかわらず、立体だと錯覚を起こしてしまいます。

この錯覚の秘密には、カゲ(陰影)の力が大きく働いていると思われます。カゲの無い絵は遠くも近くも一緒になり、すべてが平らに見えてしまいます。
カゲをつけると立体的に
図6 カゲによる立体

カゲは凹凸があってはじめて生じるものです。逆に、カゲがあるとき、そこに何かの塊があるのです。このことを知識として脳は覚えています。そのため、カゲを描くと脳が錯覚を起こすのです。

影の存在は非常に重要なので、後ほど詳しく説明する予定です。


▼重なりから奥行きを想像する

重なりが立体感を生む
図7 普通の光景

上の絵をご覧ください。
テーブルの上にコーヒーカップがあり、他にも消しゴムや鉛筆、定規があると認識したと思われます。よく見ると定規は3つに分かれています。しかし、3つに分かれて見えていても、実際にはカップの裏でつながっていることを、私たちは常識的に知っています。

また、木々の向こうに民家、その後ろにビル群、さらに遠くに山々、といったように、ものが重なって見えることがあります。こちらも、それらが距離が開いたところに存在していることを私たちは知っています。

重なった部分は見えていません。その部分はこの世から消えてしまったのでしょうか。もちろんそうではありません。この目に見えているものの「重なり」は「奥行き」という考え方で解消しています。

この、「ものの裏側にも世界が広がっている」という考え方は、実は小さい頃からの経験によって学んだことなのです。これは、さわる、移動するなどの体験をしなければ分かりません。小さい子供が平面的に絵を描いてしまうのも、この経験が少ないからでしょう。

奥行きを想像する
図8 奥行きを想像



▼昔、人は世界を平面に見ていた?

私たちの目標は立体的な絵ですが、その対比として平面的な絵にも触れておきます。その例として大昔の絵を挙げます。エジプトの壁画やギリシヤの壺に描かれている絵はどれも平面的です。また、ヨーロッパ、インド、中国、南アメリカ、日本、とどこでも程度の差こそあれ、近世までは線を主体とした平面的な絵画でした。
昔の絵は平面
図9 昔はすべて平面画

これらの絵の成り立ちについて少し想像してみましょう。世の中の出来事や気になったこと、記憶にとどめておきたい事柄を具体的に残したい、自分以外の人にも知らせたい、昔の人のこのような気持ちが発展して、絵が生まれたものと思われます。

今はメディアが発達し、周りに絵があふれています。しかし、昔はそうではありません。紙や筆も貴重品でした。今でも残っているような絵が描かれるのにはそれなりの理由があり、細かい意味がそこには含まれています。そんな絵は、描き手が興味あるもの、説明しなければならない事柄のみを並べて描き、遠くのものでも小さいものでも、重要度に合わせて中央に大きく扱いました。

そのため、必要の無いものはまったく見えていないか、意識に上らなかったと考えられます。見えても見えず、という状態が昔は普通でした。細かく描く必要が無かったわけです。

実際にどのような作業が行われているか、勝手に想像してみます。描こうとするものを周囲から切り取ります。輪郭線をなぞることで絵になります。必要な情報は分けて描いていきます。例えば、服を着ている、手に剣を持っている、髪は波立っている、といった内容です。しかし、言葉に出来ない、説明できない部分は描くことはしません。
情報で描かれる絵
図10 情報で描かれる絵

その頃の昔の絵は「もの」だけを描いていた、といえるでしょう。
参考:絵画論その5 <ものとその周囲>から<地と図>の関係へ
今の私たちは、この世界には奥行きがあると認識しています。しかしそれは、誰かが「この世の中は立体に見えるよ」と指摘したからなのかもしれません。


▼空間を意識する

人は普通、空間だけを見る(とらえる)ことは出来ません。ここでいう「空間」とは、空気の部分(空気しかない部分)のこと、と言えば一番分かりやすいでしょうか。空間を見ようとしても、視線はその向こうにあるものまで行ってしまいます。途中にある空間は通り抜けてしまいます。逆に言えば、目の網膜に写る光景は、ものからこちらに向かってくる光(の集まり)です。途中の空間は目に映りません。
絵を描くのに空間を意識する
図11 空間の存在

このとき、目からものまで距離があり、その間に空間という空気の塊があります。このことを意識することが立体を感じ取る第一歩となります。
ものの裏の空間を意識すれば立体に描ける
図12 ものの向こうの空間

空間は目とものの間だけでなく、ものとものの間にもあります。というより、ものが置いてある部分以外はすべて空間です。特に、ものの後ろの見えない部分にも空間はあることに注意しましょう。このことが意識されにくいのですが、立体を表現するためには大切なことになります。


▼人の目は動的

私たちは遠いところと近いところを同時に見ることが出来きません。一箇所に視点を定めたとき、他はぼやけています。

ところが普段、周りを見渡したときに、その光景全体がぼやけているようには感じられません。これは、無意識に目があらゆるところに焦点を合わせ続け、脳の中でそれをつなぎ合わせて絵を作り、空間を認識しているからだと考えられます。一瞬一瞬焦点を合わせた、無数の部分的な静止画像を脳内で重ね合わせる作業をしています。
人の目は動的に光景を認識している
図13 部分的にしか見れない

私たちが見る世界は、例えその光景が静止していたとしても、それを認識するために、目や脳はずっと動いているのです。このことも、立体的な絵を描くための技として使われます。


うさうさ堂の絵画論の一覧<絵画論記事のまとめ>


推敲担当から:まだまだ続くのですが、収拾が付かないので現段階で公開します。各文章が一番盛り上がったところで突然終わるのは、元の原稿がそうだからです。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
なんとなく、自分では無意識に絵を描いてしまっていますから、こんな風に基礎から分析するとはすごいなぁ・・・やっぱり、人に教えているから、出てきた言葉たちですねぇ・・・
マミケン
2011/06/07 12:24
空気・空間を描く・・・・・が?でした。
 重なりと距離・・・・・難しいです。
 ありがたい絵画論、次が楽しみです。
何度も読み返しています。
せっちゃん
2011/07/19 19:34
初めまして☆
今日初めてこの記事を読んで
今年の夏休みの自由研究に決めました!!
ホントにすごい参考になりました♪
まちゃまちゃ
2011/08/16 12:33

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