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zoom RSS 絵画論その11 構図の秘密

<<   作成日時 : 2011/01/04 01:11   >>

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以前、絵画というのは構図が重要だ、構図というのはバランスのことである、と書きました。
絵画論その4 画面構成(構図)を大切に考える
今回はそのことについてお話します。
ぜひ、各イラストをクリックして、そこに描かれた意味を考えてみてください。

キーワードは「視線の制御」です。


▼構図を考える理由
まず構図について、なぜ意識しなければいけないのか、
意識しないと絵はどうなるのか、お話します。

絵を始めたばかりの人の場合、絵に対して

1、自分の視線がはじかれる印象を受ける
2、全体が弱く見える
3、全体にまとまりがなくバラバラに見える
4、どうでもいい場所に視線が行ってしまう

といったことが起こりがちです。どれも、視線に関する問題です。
これは構図を意識しきれなかったから起こったのです。

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構図を意識して描くことで、上の問題が解決できます。
なんと、人の視線を操ることが出来るのです!
その考え方や方法について順番に見ていきましょう。

▼その1「視線がはじかれてしまうこと」への対策→大小
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画面の中に4つのものがほぼ同じ配分で描かれています。これを見ると、4つの塊が同時に目に飛び込んできて、何が描いてあるのか一瞬戸惑ってしまいます。といっても瞬時の、無意識下での出来事なので普通はそこまでは気付きません。しかし、同時に同じだけのエネルギーが目に飛び込んでくるので、情報をうまく処理できず、脳が心地よい印象を受けにくくなっているのです。絵を見ても、そこへ入っていくことができません。これが、目が「はじかれる」という状態です。この絵では視線が画面からはじかれてしまう現象が起こっています。

目に負担がかかっているのです。

それでは、視線に負担をかけない画面構成にするにはどうすればよいのでしょうか。

それは、絵の中で変化をつければよいのです。
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変化があると、視線が動き、見る順序が生まれます。絵は平面ですが、見る順序があることで、自然(立体)を見るのと同じ見方になります。(ここの詳しい説明は今後の絵画論でたっぷりやる予定です。)視線に流れを与えれば、混乱させることもありません。

そこで、ひとつの絵の中で、いくつかの違う大きさの塊を意識して構成してみましょう。具体的には大きさの割合をだいたい8:5:3:1に配分すると、絵がうまくおさまります。この数字は私個人の経験則に基づくものです。厳密な面積の比ではなく、大体の印象です。

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色々な8:5:3:1の構成例


位置や形は自由です。

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例えばこのような風景でも、8を大地と道などにおき、5を山々と手前の木々、3を空と雲、1を家と、それぞれ8:5:3:1となるように描きました。描き始めにいきなり分割したのではなく、比率を意識して修正しながら描いたのです。

また、大きく4つに分けておしまいというわけではありません。8、5、3、1の各部分においてさらに8:5:3:1と分かれるようにし、これをどこまでも繰り返していくのです。

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そうすると引っかかり感がなく、良いバランスの画面を作ることが出来ます。すっきりとして見やすいと思いませんか?


▼その2 「全体が弱く見える」ことへの対策→三角形
四角い画面に三角形ができるような配置にすると、なんとなくまとまるということがあります。

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物の形が三角形でなくても、三角形の組み合わせであると考えるようにします。また、三角形の各頂点をどこに取るかで多少変わってきますが、画面に対して斜めの線を入れることで絵がしっかり安定します。家を建てるときの筋交いのようなものだと思ってください。安定感が増して、地震や強風でもしっかりとしています。それと同様に、斜めの線は画面を支えるとともに、奥行きと方向性を与え、動きやリズム感ももたらします。


▼その3 「バラバラに見える」への対策→方向線
画面の中央に物を描いた場合、上のほうや隅が余った部分となります。すると、そこが不必要な部分として見られてしまいがちです。(その部分を切り取ることが出来るように見えてしまいます。)

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上の絵は動物たちの集合イラストですが、よく見ると画面中央から外に向かって放射状の方向線が感じ取れると思います。絵の中のちょっとした小物の角度により、斜めの方向に力を感じさせ、画面の隅々までが補強されます。凧あげを例に説明します。凧は通常四隅まで竹ヒゴと糸が貼ってあり、真ん中で引っ張ってもピンと張りがあります。

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もしどこかに弱い箇所があれば、全体を同時に引っ張った時にその部分が欠けたり折れたりしてしまいます。絵も同じ事が言えます。実際には何も描かれていないにも関わらず、小物によって方向線を出すと、端まで張りが出ます。画面の隅々までを方向線によってつなぎとめることができます。すなわち、いい構図の絵は全体に張りがあるといえます。

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上の絵は右上の余白部分が他と関連が無く、孤立しています。もしもこの絵を引っ張ったならば、この右上の部分がちぎれてしまう気がします。あらかじめ斜めの花と葉を入れておけばこれを防ぎ、右側の空間もつなぎとめることができるのです。(くさびを打つ感覚です。)右上の空白への視線の誘導で全体つなぎとめられたのです。

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上の絵の場合は左右の関連が薄いため、画面中央で2つに折れてしまいそうです。構造上弱く脆いものより、がっちりとした世界を、一枚の絵全体を一杯に使って表現したいものです。


▼その4「余計な部分に目をとられる」ことへの対策→ちょっとずらす
構図に関して避けるべき重要な事に、「余計な緊張」があります。これは立体を平面に置き換えたため起こる問題です。このあたりは立体の話も含み、とても一度に説明しきれませんが、少し触れてみたいと思います。


▲絵画は特殊な世界

構図を考える上で大事なことは、絵画と現実世界は違うということです。「絵画と現実世界は違う」と言われても、「そんなことは分かっている」と皆さんは思うかもしれません。しかし、絵を描くにあたってその違いを深く意識したことがあるでしょうか。いくつか違いはありますが、一つだけ説明してみましょう。


絵画と現実世界の違い:絵画は切り取られた世界

絵画のほとんどは長方形で、額に入れられて飾られています。つまり、絵画は四角く「切り取られた」形をしています。これも当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、もう少し深く考えて見ましょう。絵画として描かれている風景などは、皆さんが実際に生きている現実の世界を写し取ったものです。絵画には枠(わく、フレーム)がありますがこの現実の世界には枠が存在しません。家に壁があってもその外がありますし、空も地下も存在します。つまり、現実世界はとても広いものです。そんな広い世界から、描きたい対象を枠で切り取って描くのが絵画です。
(言うまでもなく抽象画などは省きます。)


(現実世界と絵画の違いはこれ以外にもあります。今後の絵画論で話していく予定です。)



このように、現実世界と絵画では、見ることに違いが出てきます。一枚の絵画を見るときは、「余計な緊張」が起こりやすくなっているのです。

この「余計な緊張」という概念がなかなか説明し辛いのですが、画面上に気になる部分があると、それが目に対して余分な刺激を与えたり、余計な緊張を生ませるのです。これも無意識のことなのでなかなか気付くのが難しいかもしれません。これがあると絵に無駄な引っ掛かりが出来てしまい、良い絵と言い難くなります。

枠は余計な緊張が起こる一因ですが、「余計な緊張」が起こる理由はそれ以外にもあります。「余計な緊張」とは何か、どういう構図で起きるのか、どうやればなくすことが出来るのか、ここからは具体的に見ていきましょう。


▲余計な緊張を取る方法

 A 画面の真ん中と対角線上にはものをおかない

画面のど真ん中は視線が集まりやすいのは皆さんにもわかっていただけるかと思います。ここは必要以上に注目されやすい場所です。ものをここにおくと、不必要な強調や緊張を生むことになります。絵の全体の動きが止まり、四隅が死んでしまいます。(逆に、強調したいときは真ん中においたりします。)
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また、キャンパスの角はフレームの端と端がぶつかっており、ここも視線が集まりやすくなっています。視線がふきだまるところです。(このようなことは現実世界にはありません。)ここも、ものや線をもってくると、不必要な強調や緊張を生み出してしまいます。

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斜めと真ん中に配置してしまった、避けるべき構図の例

一枚の絵の中でも、目立つところと目立たないところがあるので、ものを配置させるとは、そのことを意識するとよいでしょう。


 B タテ線、ヨコ線はそろえない、並べない

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上の水彩画をご覧ください。
各々の瓶の口や輪郭の線が全て重ならないように配置されています。これは偶然ではなく、目に余計な緊張を与えないために意図的にそうしたのです。

 C 手前にあるものと奥にあるものの角、線を重ねない。

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上の絵をご覧ください。
水平線と船のふちの部分について、くっついているのかはなれているのか、距離感がよく分からない状態になっています。これは位置をほんの少しずらしてやるだけで、見やすさが上がります。

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次にこの絵の赤丸で囲んだ部分をご覧ください。
線を重ねて描いてしまった結果、実際は離れているのに、平面上ではくっついて見えてしまいます。
特に人物の場合、首の後ろの水平ラインが首を切っているように見えたり、頭のてっぺんから木が生えているように見えます。誤解を受ける構図は避けるように注意しましょう。

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少しずらすだけでよくなる



BもCも余計な緊張、眼への余分な刺激ということが共通しています。立体世界(現実世界)では線が重なり合っていても目の焦点の関係であまり気になりません。ところが平面上で同じことを表現すると、重なりは余計な強調、もっと言えば画面のヨゴレになってしまいます。線を少しずらすだけで、視線に余計な負担をかけず、本来見てほしい所にだけ視線を集めることができます。



以上、いい構図を作る方法を紹介してみました。このことをふまえて美術館や展覧会の絵画を見てみてください。とてもおもしろい発見があると思います。名画と呼ばれる絵はなかなかうまくやってますよ。

次回は、余計な緊張が起こることについての補足です。
次々回は本文でも少し触れた、立体の話をする予定です。

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
構図の問題をまとめるとこうなるのかぁ・・・あまり僕は考えていませんでした。僕はけっこう遠近法とかわざと無視して描きます。その方が自然じゃないかと・・・

例えば、2人の人物がいて奥の方がすっごく好きな恋人だったら、それを大きく描いた方が自然ではないかと思うのです。ははは。(昔の宗教画とか英雄の絵なんかはそうなってます)

構図は確かに知っておくべき問題ですが、いろんな失敗を繰り返して辿り着いた、言わば人類の美術の歴史のエッセンスという感じがします。僕は。
マミケン
2011/01/05 15:22

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