うさうさ堂blog

アクセスカウンタ

zoom RSS 絵画論その10 元祖・絵画描写再起動実践術

<<   作成日時 : 2010/08/19 00:01   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 11 / トラックバック 1 / コメント 3



 私は絵画教室を開いています。生徒さんの様子を見ていると、手が止まって悩んでいる様子をよく見ます。
また、どうやっても上手くいかずに袋小路に陥っている方もいます。どうしたらよいのか自分では分からなくなってしまったのでしょう。

画像


この悩みに対して私なりの解決策を提案したいと思います。


▼筆が止まるのは自分の絵を意識し出した証拠

私たちが絵を始めたときには、何をしたらいいのか全く分からなかったはずです。それでもなんとか筆を動かし、キャンバスを埋め尽くします。ところが、何枚も描いていくうちに、観念(思い込み)や惰性で手を動かすようになってしまいます。そのことが気にならなければ自分の中で絵として成り立つのですが、残念なことに(?)「もっとよく描きたい」という欲念が必ず起こっていきます。

絵画自我の目覚めです。ここで初めて、絵を描く方法について考えなくてはならなくなります。

昔のほうがうまかったような気がする。今はあまり感動が無い。気持ちが集中できない。昔のように手(筆)が動かなくなってきた。わけも分からず一所懸命筆を走らせたあの頃に戻りたい。この先どうしたらいいのか・・・。これが第一の壁です。俗に言う、「壁にぶつかる」というやつです。

誰でも絵に対して自分なりの常識というものを持っています。それに従って絵を描いていても、いづれ行き詰まります。自分で楽しく、ずっと描き続けることが出来れば、それはそれで完結していて、画家のひとつの理想形態ではあります。しかし普通はそういきません。

行き詰まり、絵を変えることが自分で出来なくなった場合、自分以外の力を持ってくる必要があります。しかも、これを自分で用意しなければなりません。最初は他人(=先生)がどうにかしてくれますが、いつまでも頼っていくわけにはいきません。描いている自分の中に、新たな刺激を生み出す方法はあるのでしょうか。

▼楽しく無心に描いている自分と客観的に見ている自分

この世の中で何かを新しく創造し、表現するには莫大なエネルギーが必要です。このエネルギーをどこから生み出したらいいのでしょうか。自身の体やこれまでの経験技術だけではなかなか得られません(全然足りません)。多くの先人たちも、自分の中に自分を超える何かを出現させる方法を模索し、苦しんでいました。環境の変化、酒、性、奇癖、薬物などに依存し、常識を壊そうと体を痛めつけて(無意識でも)ストレスを作り、何かが降りてくるのを期待しました。確かにこれらの方法は優れた製作物を生み出すこともありますが、長続きしません。代償として心と体を壊してしまいます。誰にでも出来るとも思えませんし、もちろん薦めることも出来ません。

もっと簡単に自分の絵を変える方法は無いのでしょうか。

なにも何らかの神がかり的な力で自分を超える必要は無いのです。自分の思い込み(常識)を気付かせてくれるだけでいいのです。それだけなら難しいことはありません。自分の絵を変えるための、常識の壊し方のヒントを以下に挙げてみました。(これを「描画再起動実践術」と名付けてみました。)そのときの自分の状況に合わせて試してみてください。どうしたらいいのか分からなくなって止まっていた筆がまた動き出すかもしれません。


▼これが描画再起動実践術だ!

それではご紹介します。



描画再起動実践術


A 見る条件を変え、改めて自分の絵を観る

じっと見ていてもあなたの絵は変化しません。それならば、少し視点を変えてみましょう。

1 鏡で左右逆に見る

画像


 人は体の構造上、動きに癖が出ます。そのため、絵も左右のバランスがどちらかに偏る傾向があります。絵を鏡に映して見ると、そのゆがみが発見できるかもしれません。

2 上下をひっくり返して逆さに見てみる

画像


 これは絵の中の、ものの前後関係がどうなっているかよくわかる方法です。人は、頭の中の常識で「テーブルの上にお皿があり、りんごがのっている」というように、絵の構造を無意識に解釈してしまいます。なので、りんごや額の方がテーブルより前にあるように描かれていても、そのことに気付かないことが多いのです。(そのようなことになってるとは想像もしないようです。)風景画なら、家や道路より後ろの山や空が手前に出てしまうこともあります。
 
3 暗いところや遠くに置いて見る

 絵が色にごまかされて平板になっているかどうかがわかります。りんごの赤とテーブルの色の濃さが同じで、溶け込んでしまっていることがよくあります。そういう時はりんごを明るくしてテーブルを暗くするか、逆にりんごを暗くしてテーブルを明るくすれば良いのです。(見事、次にやることが出来ました。)
 おもしろいやり方として双眼鏡を逆さにして絵を覗く方法もあります。これで何か直したいところが見つかればもうけものです。

画像



4 隣の部屋に絵を置き、たまたま通りかかったときに”チラ見”する

画像



 一目でわかる状態を作っておき、トイレなどで席を立つ時に行います。何回もすると効果が上がります。描きたいもの以外の余分なものが目に飛び込んできます。人物の顔や体形などはおかしなところがよくわかります。一目で印象がよくなければ駄目な気がします。



B 見る側の設定や価値観を変えて自分の絵を改めて観る

今の自分ではどうしたらいいのかわからない。それでは自分が自分でないことにしてしまいましょう。

1 時代や場所を変える

 もしも自分がアメリカ人や中国人なら、あるいはもしも今が江戸時代や縄文時代なら、と時代や国を超えた目を想像してみます。例えば、三角の山にピンクの塊をつけた絵を描いたとして、日本人なら「ああ、富士に桜だな」とわかってくれます。しかし、アフリカの人がこの絵を見たらどうでしょうか。よほどしっかり描かなければ何が描いてあるのか、わかってくれないと思います。絵を自分の思い込みで描くのを防ぐことができます。
画像


2 大好きな有名画家になったつもりで観る

画像


 なれなくても、あくまでなったつもりで、です。ピカソだったら、ダビンチだったら、この後どうするだろうか・・・と自由に、勝手に想像してみましょう。 


3 国立美術館に掛ける絵を描いてるつもりで観る

 決して上手く描けという意味ではありません。大勢の人がこれからこの絵を鑑賞しに来る、と想像するのです。見られることを意識するのです。もう少しどうにかして、筆を入れてみようという気持ちになるかもしれません。


4 自分の絵ではなくてキライな人が描いた絵だと思って観る

 あるいはライバル(いなければ勝手に想像して)の描いた絵だと思って観てみます。すると、どこかケチをつける気持ちが生まれます。人が悪いですが、絵の欠点がはっきり指摘できます。





これらは、固定された自分と絵との関係を一度破壊して、新しく絵と接するための方法の例です。

絵との接し方を変えると、今まで気付かなかったおかしな箇所が出てくるものです。そこに筆を入れればよいのです。必ずしもよくなるという保証はありませんが、少なくてもまた描き進めることが出来るでしょう。


ここまでやってもまだどうしたらいいかわからない人には次の方法をお勧めします。



C サインを入れてしまう

 とにかく描き終わったことにしてしまいます。サインを入れてしまうと、急に不安になったり、もの足りなくなったりして筆を加えたくなります。(天邪鬼効果です。)

画像



D エコ絵画

画像



 絵の具を残したらもったいないと思い込み、出ている絵の具をとにかく全部塗ってしまいます。人にも言えない、情けない事この上無しの方法です。絵よりも絵の具を重視する、主客転倒の恥ずかしい行為なので内緒でやりましょう。かなり効果があるのが悲しいところです。


E 残った絵の具を交換して塗る

 これはDと似た方法です。他の人と一緒に描いている場合、その人のいらなくなった絵の具を貰うと、自分がいつも使っている色とは違った色合いが出せます。さらに、どうせ捨てるのだからと思い切って塗ることも出来ます。自分では意識してなくても、絵の具を節約自制して描いている人が多いのです。

画像


残り物を貰う行為は終了間際に行いますが、実際にかなり効果があります。これを最後の5分間効果と私は呼んでいます。描くのをやめる少し前になると何故か思い切りがよくなり、びっくりするくらい良いタッチや色合いが出せることがあります。この感じが最初から出せたらいいのに、とよく思います。




☆お気づきかもしれませんが、これら個々の方法には深い意味はありません。再び筆を動かすためのきっかけに過ぎません(=「再起動法」)。筆が復活さえすれば何でもいいのです。描き続けられれば(良し悪しはともかく)絵は変化をし続けるでしょう。


絵が上手くなったり、賞をとったり、有名になることはうれしいものですが、本当の喜びは絵と楽しく接していられることだと思います。絵の正体は目と手と脳が同調して出来る快楽の一種です。この同調回路をスムーズに流れさせることがいろいろな絵の勉強法となります。

当然ですが、これらの方法は私流です。皆さんも独自で常識破りの方法を探し、実践してみてはいかがでしょうか。


うさうさ堂の絵画論の一覧<絵画論記事のまとめ>


絵画論編集担当より:今回の話のポイントは、「絵画に行き詰った人」専用で、「また描き始めるためのきっかけ作り」であり、「絵が上手になるための方法ではない」ということだそうです。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 11
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
<絵画論記事のまとめ>
これまでの絵画論の記事のまとめです。 ...続きを見る
うさうさ堂blog
2010/09/09 14:54

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ははは、面白いなぁ・・・描けなくなった時、描きたくなくなった時のボクの方法は・・・「描きたくなるまで描かない」です。ははは。画文集「名古屋散歩」の時、1日筆ペン風景スケッチ画を場所を変え4枚描いたことがあり、疲れて「絵を描くことが嫌いになっちゃうのでは?」と恐れました。それが1番怖かったです。「嫌いになるくらいなら描かなけりゃいいんだと・・」僕の場合はそれで糧を得てるわけではなく、100%趣味なんで・・・。

徹底して全然描かなくて、何日かしてその絵を見たら、すごく新鮮かもしんない。絵を楽しく描けたらいいんです。僕は。絵の技量や絵のレベルは、どんな人でも1万枚描いたら良くなる。それまで嫌いにならないようにしましょうね。(お絵描きマミケン流でした)
マミケン
2010/08/19 09:10
ほー・・・なんと、為になるお話。
と、言いたいところですが、
残念な事に、その域に全く達していない私
5月に教室に行ったら・・・閉まってたあ そうだ、展覧会だった。
10月から、教室行けそうです。
不熱心なおばさん生徒です。
先生、私だれか分かりますか?
タマナオ
2010/08/24 14:30
目と手と脳の回路がなかなかスムーズに運ばないのが常
です。
今回の絵画論、多くの絵画仲間たちによませたいです。
せっちゃん
2010/08/27 16:01

コメントする help

ニックネーム
本 文
絵画論その10 元祖・絵画描写再起動実践術 うさうさ堂blog/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる