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zoom RSS 絵画論その9 「十兎図」 -絵画の段階的変化-

<<   作成日時 : 2010/05/20 23:35   >>

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絵を描くことは、筆記用具があれば誰でも始めることが出来ます。

しかし、絵を描くにはいろいろな入り口があるので、ある方法を進めてるうちに他の方法も気になってくるものです。また、何を使って描くのか、どこから描いたらいいのか、次は何を描いたらいいのか・・・。疑問は次から次に生まれてきます。

あまりに自由すぎると、かえって道に迷いやすいようです。そこで、絵の世界に分け入るための道しるべを創ってみました。

禅の世界では、悟り(真理)に至る道を牛と牧童に例えて説明した有名な図があります。それぞれの悟りの段階を10通りに分けた「十牛図(じゅうぎゅうず)」と呼ばれるものです。

絵の世界も、何年も描いているといろいろと変化が起きると思います。この変化を十牛図に当てはめて私なりに描いてみました。うさうさ堂で作ったので、牛ではなくウサギで「十兎図(じっとず)」としました。実際に絵を描く人を対象にしています。うまくこの世界を説明できているのか、皆さんのご判断を仰ぎたいと思います。

第一図 / 発心
十兎図1

絵に興味を持つ


▼絵を描いてみようと思う。
▼いままで何気なく見過ごしていたものを紙に写したくなる気持ちになる。



第二図 / 「一歩」
十兎図2

とにかく絵を描く


▼筆や鉛筆などを手にとって、描きたいと思ったものを描く。
▼描きたいものの色や形を描き写すのが楽しい。
▼描きたいものが次々と現れ世の中の見えるものに対する意識が変わる。
▼ものとの対話が始まる。



第三図 / 「発展」
十兎図3

描くものとそれ以外の関係に気付く


▼ものだけでなく、どこに描くか(構図)や、ほかのものや空間などお互いの関わりを描く。
▼画面の端から端まで使うことや見えるもの全部を画面に収めるなどこの世界を枠で切り取るということを意識する。
▼絵が巧くなり、自己満足に陥りがち。

関連絵画論4 画面構成(構図)を大切に考える
    絵画論5 <ものとその周囲>から<地と図>の関係へ
    絵画論6 絵画論その6 地と図は2つで1つ


第四図 / 「迷霧」
十兎図4

絵がわからなくなる


▼描けば描くほど絵がわからなくなり、方向を見失う。
▼自分の絵に自信が無くなり、ばらばらになる(まとまりが無くなる)。
▼いろいろな技法や素材、色使いを模索。他の人の描き方が気になり、しきりにまねをする。
▼あせりで絵が嫌いになることもある。

関連絵画論1 自分で描いた絵を鑑賞するということ


第五図 / 「全体」
十兎図5

目に見えないものを表現


▼(第3図ではものとものとの関係が主だったが、)ものとそれを取り巻く広がり(光、風、時間、感情、全体感など目に見えないけどこの世界を創っているもの)を意識し、表現したいと思うようになる。
▼目に見えない、包む側をどう表現するか考える。

関連 絵画論7 飛び出す絵と引き込む絵
     絵画論8 絵画とイリュージョン


第六図 / 「変化(ヘンゲ)」
十兎図6

表現法から自由になる


▼出来上がったものを破壊し、省略できる。(あるいは、しきりに省略する。)デフォルメや抽象化もできる。
▼色や絵のジャンルなど、いろいろな束縛から自由になる。



第七図 / 「個性」
十兎図7

その人の絵になる


▼本人でなければ描けない絵となる。
▼周りからも一目でそれとわかる。
▼自分の絵、個性の完成。
▼オリジナリティの確立。
▼絵を描くということのひとつの完成形。



第八図 / 「再誕」
十兎図8

子供の絵に近づく


▼省略や抽象化が進み、一見すると稚拙に見えることもある。5歳の子供が描くように自由な心で描く。
▼絵から欲が消える。
▼動いている自分を冷静に見ている自分(ミューズアイ)があらわれる。



第九図 / 「収束」
十兎図9

一本の線に戻る


▼心の内外の世界を表現するのに一筆で足りる。一筆の中にすべてを込め、表現できる。
▼この世界(3次元)を紙(2次元)に翻訳し、一本の線(1次元)に閉じ込める。
▼絵という枠がなくなり、自在になる。
▼新たな気持ちでものを見る。一番初めに戻る。

関連絵画論3 線1本にもいろいろ意味がある


第十図 / 「昇華」
十兎図10

何も描かない


▼この世界はアートだ。このアートな世界がすべて自分の中にある。
▼一瞬一瞬、いつもすべてが心の中で描かれている。



いかがでしたか。

「どうやったらあの色が出せるのか」
「いったい自分は何を描きたいのか・・・」

いくら描いても迷いや悩みはキリがありません。だからこそ何歳になっても楽しめるのだと思います。


次回は「描く手が止まったときの解消法(仮)」です。

うさうさ堂の絵画論の一覧<絵画論記事のまとめ>


絵画論推敲担当から一言:(毎回そうですが)今回も完成するまで長い道のりでした…。元の原稿のどの部分にも予想以上の深い意味があったりするので、一文ごとに喧々囂々でした。労作なので、何回も読み返してほしいです。そのたびに新たな発見があるかもしれません。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
いや〜〜〜深いなぁ・・・・
すごくまとまっていますねぇ・・・
本にしたいなぁ・・・

でも、僕はそんなのに何の関係もなく、
今日も描きたい物を描きたいように描くのだ!!
マミケン
2010/05/21 09:34
目からうろこ!!!です。
 松本教室の皆はこれをよまなくっちゃ!!!♪
せっちゃん
2010/05/27 09:59
とてもおもしろいです。早く次が見たいです。
名無し
2010/06/01 19:43

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